7

 じきに夏至の瞬間が訪れる。
 眠り続けていた薄い目蓋が開く時間が訪れる。
 満天の星の海に輝く蠍の尻尾よりも赤い瞳が開くその様は、シンジが知るどんな赤よりも魅惑的だ。


 睫が震えた、と思った時、赤がゆっくりと顕われた。
「おかえり、カヲル君」
 まだ少し眠そうな眼が、微笑みに変わる。
「 ―― ただいま」


 そして僕の毎日は、俄然賑やかになる。
 半年振りの二人の食卓、半年振りの会話。
 呼べば返る声も、触れれば微笑む瞳も、触れてくる指も、全てが僕を高揚させる。




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