5

 名匠が精魂を込めた人形のように眠る天使。
 眠りの間は、カヲルはまるで動く気配がない。
 体温は保たれて、シンジが触れば体も動くけれど、目蓋は固く閉じられたままだ。

 まるで、折れやすい花の世話をするように、シンジは毎日、眠るカヲルの世話をする。
 花と違うのは、彼が眠っている間、一切の栄養を補給しないですむということくらい。
 けれども、カヲルの世話をすることは、シンジにとっても癒しの時間だ。
 天気のいい日は窓を開けて風を入れ、雨の日は音楽をかけて香りのよい花を側に置く。
 毎日清潔なタオルで顔や体を拭いて、2ヶ月に1度くらいは、少し伸びた薄い爪をやすりで整えたり。

 こうしていつまでも見つめていられるし、
 ―― こっそりキスをしてもばれたりしないしね。




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