銀兎文庫::novels1
名匠が精魂を込めた人形のように眠る天使。
眠りの間は、カヲルはまるで動く気配がない。
体温は保たれて、シンジが触れば体も動くけれど、目蓋は固く閉じられたままだ。
まるで、折れやすい花の世話をするように、シンジは毎日、眠るカヲルの世話をする。
花と違うのは、彼が眠っている間、一切の栄養を補給しないですむということくらい。
けれども、カヲルの世話をすることは、シンジにとっても癒しの時間だ。
天気のいい日は窓を開けて風を入れ、雨の日は音楽をかけて香りのよい花を側に置く。
毎日清潔なタオルで顔や体を拭いて、2ヶ月に1度くらいは、少し伸びた薄い爪をやすりで整えたり。
こうしていつまでも見つめていられるし、
―― こっそりキスをしてもばれたりしないしね。
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ginto-bunko