16

「そのままでいい…僕がするから」
 ベッドから起きれなくなったカヲル君の胸元を開いて、その上に馬乗りになると、僕はゆっくりと指を這わせる。緩く上下する白く滑らかな胸。そこに乗るうす赤い乳首を柔らかく押しつぶすと、く、とカヲル君の体がこわばるのを感じる。
「 ―― 感じる?」
 うん、と、吐息と一緒にもれる言葉に、僕は満足する。
 僕は彼の色んなことを覚えておこうと思う。彼のやり方のように全てを曝け出すことはできないけれど、カヲル君は、人のやりかたで交わることでしか得られない感覚も好きだよ、という。
「…キスも?…好き?」
 わざとそう聞いてみると、カヲル君がくすくすと笑うので、僕は段々とそれに味をしめだす。満足に動かせない体でも、カヲル君は綺麗に微笑む。カヲル君の方法だと、いつも僕はあっという間に一杯一杯になってしまうから、こうして自分のペースでふれあえるのも嬉しい。
「…好きだよ。だって、シンジ君からしてくれるもの」
 この時期になると、彼の話し方も、少し舌足らずなニュアンスが出てくるのだけれど、
「そういうのって、凄く感じる…」
 それがむしろ、僕にはとても色っぽく聞こえて。
 本人も、何となくそれが判っているのか、手足が動かない分、からかうような言葉で僕を煽ろうとして、そして僕は、 ―― まんまとそれに煽られる。下から僕を見上げる、悪戯っ子のような瞳に、ぞくりと下肢が熱くなっていく。ゆっくりと体を倒して顔を近付け、唇をあわせると、カヲル君が薄く唇を開くのが判る。そこに自分から舌を滑り込ませて、カヲル君の舌に絡ませる。
「…くふ…、…ぅ…っ、 ―― ンン…」
 カヲル君が僕を暴いていく時に、貪欲になるのは僕のせいだというけれど、それは今の僕にも同じことがいえる。自分から動いて、カヲル君に触れるのは、なんだか逆に頭がクラクラするほど感じてしまうのだ。絡み返す彼の舌を僕の方が強く絡めるなんてことも、もう僕にとっては当たり前のことで。そうすることで彼ももっと感じてくれるはずだと思うし、そうなって欲しいとも思う。だからもう、途中から僕には理性なんて残らなくなってしまう。
 自分からカヲル君の下肢を嘗め、受け入れる。深く繋がって、自分から腰を振る、締め付ける、もう羞恥心なんか邪魔だ。僕は、もっともっとカヲル君を感じたいし、カヲル君にも僕を感じて欲しい。僕の動きに彼が頬を上気させる光景が好き。しっとりと汗ばんでくる肌の感触が好き。カヲル君の全部を知りたい、全部欲しい ―― 僕はどんどん欲深になっていく。
「ああ…っ、く!…ひ…っ!、あ、カヲルく、かをるくんっ…!」
 カヲル君にどろどろにされる時はあんなに恥ずかしいのに、こうやって自分からどろどろになるのは、何故こんなに気持ちよくて、…もっと欲しくなるんだろう?
「んあぁぁ…っっ!!」
 そこがイイのだと、自分でとっくに判っているから、僕はもう何も考えずに、その場所をカヲル君のに強く擦らせる。僕を覚えていて、眠ってても忘れないで。背筋が反り返る程の強い快感を逃がさずに捕まえると、我を忘れた僕はしたたかに放つ。それでも足りない、もっともっとと、留まることのない欲求が、すぐにまた頭をもたげていく。まるで媚薬 ―― ううん、それ以上、カヲル君は僕の麻薬だ。綺麗な彼をこんなふうにして、なのにそれをもっと望んでしまう程。
「 ――、っ、シンジ、くん…あぁ…」
 カヲル君を強く締め付けると、白い喉がそって、とてもキレイ。
 動かないはずの足がびくりと波打つのが楽しい。
 こうしてどれだけ暴いても、君には底がない。
 もっと声を聞かせて、もっと感じて。
 僕は僕の一番感じるところで、そんな君を覚えておきたいんだ、だから、
 熱さも、湿度も。
 全部、僕に見せて。
 きっと、君よりも僕の方がはるかに欲が深い ――




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