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 カーテンを開けると、空梅雨の空が、気の早い入道雲を裾に這わせて冴え渡っていた。
 日に日に深みを増す濃い蒼天は、まるで削り出されていく青玉のよう。
「…いい天気」
 我知らず呟いて、窓を大きく開け放つと、青い草の匂いを含んだ風が舞い込んだ。とんと雨が降らない梅雨の風は、熱気を含んでいるもののからりと軽く、前髪を柔らかくかきあげるようにして揺らして行く。
 その感触はまるで、優しく触れてくる彼の指先のようだ。
 そんな事をふと思い、そして、そこに思考はとらわれる。
 今年の夏至は、6月21日の午後5時ごろ。
 夏の極みに、天使が目覚める。




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